地域コーディネーター養成講座・実践編の第5回目は、8名(男性3名、女性5名)の方にご参加いただきました。最終回の講座の目的は、ワークライフバランスについて先進的な取り組みを実践する企業3社の事例、両立支援に取り組むようになるまでの経緯を学ぶことです。

受講者は実際に株式会社ヴァンサンカン(エステ業:松山市二番町)を訪問し、経営者・管理者・従業員3名それぞれの立場からお話を伺いました。NHKで放送された同社の両立支援取り組みVTRを視聴後、人事総務の川口悦子さんよりスタッフ一人一人に合わせた雇用形態などについて詳しくご説明いただきました。次に代表取締役社長の石原美良子さんよりワークライフバランスに取り組んできた経緯をお話いただきました。「エステ業は夜間・土日の予約が多くなりがちですが、お客様の都合を優先するよりも、スタッフが仕事と家庭を両立させることを重視し、予約をお断りすることもある。一番大切なのはスタッフを守ること、と自らの姿勢を示すことで、スタッフのモチベーション・環境は大きく変わってきた」。受講者からの「自分の職場で離職が多く困っている」というアドバイスを求める質問には「スタッフとの信頼関係が大切。年3回の定期的な面談以外にも密なコミュニケーションをとっている。話に耳を傾けることが必要」と石原社長は強調されました。最後に、7年前に新卒入社した水田さんより、自身の働き方の変化( 入社時:正職員 ⇒ 妊娠時:パート ⇒ 出産時:1年育休 ⇒ 復帰時:パート ⇒ 子ども2歳時:短時間正職員 ⇒ 現在:正職員 )や、日常の仕事と家庭とのやりくりについて工夫していることを紹介いただきました。

 

 会場をコムズに変え、愛建電工株式会社(電子制御盤・配電盤等の製造業:松山市南吉田町)の企業事例を弊社スタッフ高橋が発表しました。業種がら男性中心で女性は結婚を機に退職するのが当たり前の風土でしたが、管理者の働きかけにより、女性の働く環境が整備されました。従業員の年齢構成から、今後平均年齢が上昇する反面、生産年齢人口の減少より人材確保は困難になることは予想されます。時間制約のある女性にとっても働きがいのある会社を目指し、社内制度の充実化と体制作りが行われることで、女性の意識が上がり、管理職を目指す人も現れ、女性の育児休暇取得率は9年前の0%から現在では100%へと大きく変わりました。女性にとって働きやすい職場は、男性にとっても働きやすく、働きがいのある職場であるということでした。

次に株式会社石田クリーニング(伊予市灘町)小川照美さんよりお話を伺いました。小川さんは4年前に入社し、現在は高岡店の店長です。「パート職員であっても、正職員と同じように活躍できる環境がある。手を挙げれば、挑戦させてもらえるチャンスもあるし、自分が提案したアイデアを企業が採用してくれ、それが店舗の売上アップになると達成感を感じる。時間の都合がつくから働き始めた当時とは、仕事に対する考え方が随分と変わった。楽しく働くことが大事で、どうやったらこの仕事を楽しめるか、と考えるようになった。子どもの運動会には必ず休める、PTAなどの役員手当がある、など子育て中のスタッフを応援しようという会社の想いを常に感じる」と話しました。受講者からは「運動会休暇はみんなの希望が重なると思うが、どう対処しているのか」という質問があり、小川さんからは「当社は20~60歳代の幅広いスタッフで構成されており、他店舗から応援に来てくれるなど、お互いさまの精神でカバーできている」と答えがありました。

 

 最後に、2つのグループにわかれて感想を共有し、受講者それぞれが今後の活動について抱負を述べました。講座全体を通しての感想では「色んな立場の人の考え方・視点を聞くことで自身の凝り固まった考え方がほぐれていった」と発表された方もいました。

地域コーディネーター養成講座実践編、全5回を出席された3名の方に修了書が授与されました。松山東雲女子大学西村先生からは「コーディネーター役というのは連絡調整役であり、目に見えない仕事が多い。はっきりした成果が表れにくいかもしれないが、学生は着実に育っていく。教員ではなく地域の方がその役割を担っていく点が、新しい挑戦だと思う。今後、皆さんそれぞれの持ち場でコーディネーター役として活躍されることを応援している」と受講者全員にメッセージが伝えられ、終了しました。

講座後の受講者アンケートでは、

・今後は、若い人たちを地域活動へとつなぐ役割を担っていきたい。

・自分が今働いている職場で、子育て世代の人たちに働きやすい環境を作ってあげることを考えていきたい。

などの感想が寄せられるなど、今後の活動への期待と関心がさらに高まった最終回になりました。