COC+公開講座は、63名(男性23名、女性40名)うち一般49名、学生14名の方にご参加いただきました。

まず、松山東雲女子大学の西村先生より、ご挨拶とCOC+事業についての事業趣旨、本公開講座の開催目的:

・本プロジェクトを学生を含めた多くの方へ周知すること。

・子育てにおける地域の問題(核家族化、地域のつながりの希薄化、孤立化など)を若者と社会人が共有し、地域全体で子どもを育てる意識を持つこと。

・地域で子どもを共に育てるにはどうすればいいのかを考えること。

をご説明いただき開会しました。

 

◆第一部の映画「さとにきたらええやん」の上映会(約100分)

【映画内容】

大阪市西成区釜ヶ崎。“日雇い労働者の街”と呼ばれてきたこの地で38年にわたり活動を続ける「こどもの里」。 “さと”と呼ばれるこの場所では0歳からおおむね20歳までの子どもを、障がいの有無や国籍の区別なく無料で受け入れています。地域の児童館として学校帰りに遊びに来る子や一時的に宿泊する子、様々な事情から親元を離れている子だけでなく、子どもの親たちも休息できる場として、それぞれの家庭の事情に寄り添いながら、貴重な地域の集い場として在り続けてきました。本作では「こどもの里」を舞台に、時に悩み、立ち止まりながらも力強く成長していく子どもたちと、彼らを支える職員たちに密着。子どもたちの心の揺れ動きを見つめながら、子どもも大人も抱えている「しんどさ」と格闘する人々の切実な姿を描き出しました

子どもたちを巡る状況が急激に変化している今、あらためて注目されている「こどもの里」の取り組みは、これからの社会を歩む私たちに子どもも大人も安心できる“居場所”とは何か、問いかけているドキュメンタリー映画です。

 

上映終了後、5分間の会場設営&休憩をはさみ、

◆第二部のパネルディスカッションを行いました。

【テーマ】

~私たちが住むえひめでどんな子育てをしていきたいか~

【パネリスト】

・愛媛大学社会連携推進機構教授地域連携コーディネーター 前田 眞氏

・まつやま子ども食堂清水店代表・シングルマザー交流会松山代表・社会福祉士 野中玲子氏

・松山市地域包括支援センター小野・久米所長主任介護支援専門員 松山絵理香氏

をお迎えし、前田先生にモデレーターをお願いして進行しました。

前田先生は、普段より「地域の課題を大学の知恵を使って解決策を探る」コーディネーターの役割を担い、地域と大学をつないでいらっしゃいます。本日は、ワークライフバランスや地域での子育ての課題を取り上げ、解決できる方法を参加者で探っていく場を作ってくださいました。

 

〇自己紹介をお願いします

野中さん:子ども食堂(家庭の事情で子どもだけの孤食、貧困により満足に食事ができない子どもに無料で食事をふるまう取組)の立ち上げから現在までの様子や、学生を含んだ多くの地域の人の協力のもとに活動している現状と課題をテレビニュースで紹介されたVTRを使っての説明がありました。自身もシングルマザーとしての生きづらさを感じる中、社会福祉士としてまた当事者としての支援がライフワークとなっているそうです。また、映画の舞台となった「子どもの里」にも視察に行くなど、地域の子育ての基盤(居場所づくり)を愛媛でも目指しているとのことでした。

松山さん:3人の子育てしながら介護の相談援助職として働くワーキングマザーです。管理職としての業務遂行と子育てとの両立に悩んでいるときに、働く女性の集まりや、地域との交流の中で悩みを打ち明け、解決のヒントを得たそうです。地域に悩みをオープンにできる場所や、似た環境の人とのコミュニティが支えとなった経験から、自分や家族に介護が必要になったときに、さまざまな機関とのネットワークが活きることを話されました。

 

〇“地域”にどのようなイメージを持っていますか

野中さん:“地域”のイメージとして、自身がシングルマザーとなったとき、防犯と災害時の不安があり、近隣の人とコミュニティの構築が欠かせないと感じたそうです。

映画の「子どもの里」のある意味人にずかずか入り込んでいる様子がコミュニティのあり方の理想。地域の目がセーフティネットとなり、家族や自分が支えられていることを日々感じるそうです。

 

〇”地域“に求めることはなんですか

松山さん:現在の悩みは3人目のお子さんが、来春小学校へ入学するため、小1の壁、放課後問題に不安を抱えているとのことでした。もう一歩踏み込んだ地域とのつながりを求めているとのこと。地域にはシングル、高齢者、孤立した人など、多様な人が存在しています。自分の悩みをオープンにできない人にどうにか少しでも心を開いて、つながりをもってほしいと願っているそうです。地域との密なつながりがその人らしい介護へつながると強調されました。

 

〇(参加者の大学生へ)子ども食堂のボランティアしたときの気持ちを聞かせてください

大学生(男性):子どもたちとの関わりについては、いずれ父親になるのだから、今のうちから子どもとかかわりをもったり、地域の課題を知っておくことは重要だと考えているそうです。また、子ども食堂で無邪気で純粋な子どもと触れ合うと、すがすがしい気持ちになり、達成感や充実感をにつながっている、と感想を話してくださいました。

 

前田先生:地域は“相手の力を引き出し開発している場”だと考えます。今日の映画でも、家庭の中に第3者が入ることで、回りはじめることがありました。ひと声かけて呼び込むことがセーフティネットにつながり、子育てや高齢者などのサポートをすることが活動の中で培われていけば、安心安全に暮らせる社会になるのでは、という言葉でパネルディスカッションを締めくくりました。

 

最後にワークライフ・コラボ代表理事堀田より、

今日の映画では地域とのかかわりがテーマでしたが、労働環境の場でも周囲との関わりが大切だと感じています。労働人口の減少や働く人の多様化する中で、周囲とどう折り合いをつけていくかということを、若者や大人、高齢者も一緒になって考えていきましょう、というメッセージを伝えて終了いたしました。

 

参加者のアンケートからは

・これからの働き方や地域との関わり方について考えさせられるきっかけになった(20代女性学生)

・お金が一番の世の中で、弱い立場の人を助ける人たちがいることがすばらしい(40代女性パート)

・子どもと関わり、その親と関わる仕事、本当に素晴らしいです。私もそれにお手伝いができればと模索中なのでとても勉強になりました(40代女性主婦)

などの感想をいただきました。

参加者の皆さんが、映画の中へ自分の姿を映し、「地域での役割は何か」を考えるきっかけになったのではないでしょうか。

 

 

■参加者の質問に対して、松山絵理香さんから回答をいただきました。

 

Q.「受援力」を育てるためにはどうしたらよいか?

なかなか難しいですよね。しかし「人と人のつながり」は自ら手をのばせば、どんな人にも平等に与えられるものなんだ、と映画をみて思いました。

 

 

Q.「力を貸して」と自ら言える受援力を育てるためには?

普段から自分のまわりの人たちに「あなたがいてくれてワタシはとても助かっている、ありがとう」と伝え続けることは大事かと。誰でも助けを乞うばかりではツライです。自分も誰かの役に立っている、と実感できる経験があれば、もし自分が窮地に陥った時も、次は私が助けてもらう番、と思えるのではないでしょうか。

 

私は普段、支援が必要とされる方々のお手伝いをしていますが、特に自己肯定感が低い人や意欲が低い人にはコミュニケーションの中で、「あなたが相談をしてくれたおかげで、〇〇の制度について知ることができました」とか、「あなたと出会えたことで、今までつながりのなかった方々と知り合うことができました」とか、そんなことをさらっと伝えるようにしています。

 

 

Q.こども食堂の常設は需要があるか?

受援力を育てる簡単な方法はないのかもしれません。だからこそ、誰でも集える場所として、常設のこども食堂は必要だと思います。

 

 

「さとにきたらええやん」映画上映会&パネルディスカッションを開催いたします。

 

【日時】2月11日(土)13:00~15:30(12:30開場)
【会場】シアターねこ(松山市緑町1-2-1)
アクセス:伊予鉄道市内電車/大街道駅より徒歩5分または、赤十字病院駅より徒5分
※専用駐車場はありません。近くのコインパーキングをご利用ください。
【料金】無料
【定員】80名(先着順)
【対象】学生から社会人・企業関係者の方まで幅広く、地域の方すべてにご参加いただけます。
【託児】無料(先着10名)乳幼児を抱っこしての鑑賞もできます。
 
※申し込みが必要です。
氏名 / TEL / 勤務先(学校名) / E-mail  / 託児有・無(子どもの年齢)をお知らせください。
 
<申込先>
NPO法人ワークライフ・コラボ
TEL: 089-904-1572
E-mail: info@worcolla.com
 

※個人情報は、目的外利用することや 第三者に提供することはありません。

 

 

ダウンロード
170211チラシ.pdf
PDFファイル 1.5 MB

 

★参加者の方から映画を見ての感想をいただきました★

http://ameblo.jp/bokucinema/entry-12247192487.html

http://ameblo.jp/bokucinema/entry-12247517389.html